
「このカメラでしか撮れない空気感があるのは分かっているのですが、最近は機動力を重視したセットに移行してしまい、防湿庫の肥やしにするのはあまりに惜しくて」。そう語りながら、独特な形状をした一台のカメラをカウンターへ置かれたお客様がいらっしゃいました。そのカメラこそ、熱狂的なファンを抱え続けるシグマの『sd Quattro』。唯一無二の描写力を誇るこの機体を、次の情熱ある撮影者へ繋いでほしいという、写真家としての想いが伝わるご依頼でした。今回お預かりした『sd Quattro』は、世界で唯一の「Foveon X3」ダイレクトイメージセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラです。一般的なカメラのセンサーとは異なり、光の情報を垂直方向に分光して取り込むこのシステムは、圧倒的な解像感と、まるでその場の湿気まで写し出すような濃厚な色再現を可能にします。その反面、高感度耐性や書き込み速度には癖がありますが、条件が揃ったときに出力される「中判カメラ級」の画質は、最新のフラッグシップ機をも凌駕する魅力を持っています。独創的な「ピストルグリップ」のような外観も含め、シグマのモノづくりへの哲学が凝縮された、まさに工芸品のような一台です。査定において私が最も注視したのは、マウント内部のコンディションと、センサー前面にある「防塵用プロテクター」の透過性です。sd Quattroはセンサーを保護するために独自のプロテクターが配置されていますが、ここに微細な傷や拭き跡があると、Foveonセンサーの緻密な描写力に影響を与えてしまいます。また、ボディ表面のマットな質感が損なわれていないか、ダイヤル類のクリック感に緩みがないかも入念に確認しました。今回のお品物は、ショット数も少なく、外装のテカリもほとんど見られない極上品。さらに、最新のファームウェアへのアップデートも済まされており、大切にメンテナンスされてきたことが確認できたため、現在の流通相場における最高額を提示させていただきました。こうした特殊なセンサーを搭載したカメラをお持ちの方に、プロとしていつもお伝えしている注意点が「センサー周辺の清掃」です。Foveonセンサーはその構造上、ゴミの混入が非常に目立ちやすく、また繊細です。ブロアーで吹き飛ばせない汚れが付着した際、市販のクリーニングキットで無理に擦ってしまうと、防塵プロテクターに傷が入り、査定額を大きく下げてしまう要因になります。また、sd Quattroはボディの形状が特殊なため、角部分の塗装剥げが起きやすい傾向にあります。使用しない時はシリコン製の保護ケースに入れるか、クッション性の高い仕切りで保管することが、将来的な資産価値を守る最良の手段となります。提示した査定額をお伝えすると、「正直、マニアックな機種なので正当に評価してもらえるか不安でしたが、細部まで見ていただけて満足です」と、お客様は晴れやかな表情を浮かべてくださいました。私たちは、単に最新スペックだけでカメラを判断するのではなく、その機体が持つ独自の価値や、オーナー様が注いできた情熱までを査定額に反映したいと考えています。難波でデジタルカメラからフィルム機まで幅広く取り扱ってきた経験を活かし、一台一台の個性に寄り添った鑑定をお約束します。もし、防湿庫で出番を待っている大切な機材がございましたら、ぜひ一度その価値を確かめにいらしてください。


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